遊戯王夢

□ときめきキューピット
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「私が告白しようとしてた相手は――クロウだよ。ボマーさんにはクロウとの事で相談に乗ってもらってたの。
 先に告白されちゃったけど……私もクロウが好きだよ」



そう言って、クロウの腕の中で優香はその胸に頭を預けた。
彼の胸の中は温かく、強い安心感を心から感じる。



「んだよ、ボマーとの相談って俺の事だったのか」

「だってクロウにさり気にアプローチしても、全然気付いてくれないし……。ボマーさんに相談とか愚痴とか聞いてもらってたの」

「はあ!? 俺だってこの前思い切って『好きだ』って告白したら『私もBF好きだよ』とか関係ねえ事言いやがって!」

「え!? あれって告白だったの!? てっきりBFの話題かと……でもこれでお互い様でしょ」

「あのなぁ……」



優香はふふっと小さく笑みを零す。
不服そうな表情のクロウだったが、優香に釣られてかすかに顔をほころばせた。
しばらく抱き合ったまま、見つめ合った二人は顔を近づけ互いの唇を重ねた。
触れるだけのキスだったが、優香は甘くとろけるような感触を感じたのだった。
そして顔や耳を真っ赤にさせたクロウが「帰るか」と優香の手を取った。





数日後。

クロウが宅配の仕事から帰ってくると、優香の部屋から楽しそうに誰かと会話している優香の声が聞こえた。


(遊星かジャックか?)


こんなに楽しそうに喋る優香も珍しい。
相手が気になったクロウは、偶然を装って優香の部屋に入ることにした。



「優香、明日の飯って――」

『そうか、クロウとは両想いになったのだな』

「うん、おかげ様で……って、クロウ!?」



部屋に入ってみると、優香の目の前のPCのモニターにはボマーの姿があった。
どうやらモニター越しで会話をしていたらしい。
状況が把握出来たクロウは、驚く優香を気にせずモニターの前へ近寄り、笑みを浮かべてボマーへと声を掛けた。



「よお、元気そうだな。ボマー」

『クロウか、お前も元気そうだな。優香とは上手くいっているか?』

「……ま、まあ、それなりによ。なんつーか……ありがとな」



急に礼の言葉を口にするクロウに、ボマーは意味が分からず不思議そうな顔をした。



『何がだ?』

「だ、だから、俺と優香の事応援してくれた事だよ! ……今こうやって優香といれんのもお前のお陰だ」



ぶっきらぼうに言うと、クロウは照れくさいのかプイっと顔を逸らした。
そんなクロウの反応を見て、優香はクスっと笑い、ボマーはやれやれといった顔で答える。



『私は別に何もしていない。優香に助言をしたくらいだ』

「でも、ボマーさんって私たちの恋のキューピットには間違いないって!」

『……私が……キューピット……』

「何でそこでときめくんだよ、おい」



クロウの少し引き気味の表情での冷たい突っ込みは、既にボマーの耳には届いていなかった。
この後、ボマーが恋のキューピットだというのを優香が周囲の人間に広げていくのを、全力でクロウは阻止していく派目となった――。



fin.


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