ここだお

□If you like same sex
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「よくもこれだけ集めたもんだな!!見たい本がいっぱいだ!」





ガイは大きなステップを踏んで本が立ち並ぶ複数の本棚のまわりをぐるぐると跳ねまわった。目に映るのは、音機関の本や資料。本来なら私の家に忘れた陛下に頼まれた書類を取って帰ってくるだけだったのに、彼をこの書斎兼資料室に入れるべきではなかった。




書類ならすぐ横の机にある。


早く帰らないと、陛下がまた怒るだろう。




ジェイドは大きくため息をつくものの、ガイはその様子に目もくれず、触っていいとも言っていないのに、自分が好きな本をセレクトして腕につんでいく。あれも、これもと積まれた本は、やがてガイの頭を越し、前が見えなくなった。


それでも彼は本選びをやめず、無理やり顔を横に向けて本を探している。







「ガイ、早く帰らないと陛下が怒ってしまいますよ?本は貸しますから今度にしなさい」



「悪いジェイド、もう少しだけ!」






いつものガイならそうだな、と言って、決して私を悩ましたりはしないのに、今日(というより音機関の本)については全く聞き入れない。彼の執着ぶりにも呆れを切らして、ガイに近づいた。







「いい加減になさい。陛下の謁見が終わってからでもいいでしょう」


「あー…、ん、じゃぁあれだ!あの本で最後にするから!」







あの本…?






ガイの指差した方を見ると、棚の段でいう一番高い位置にある本。背の高いジェイドにも、さすがにイスを用意しなければ届かない。どれほど目がよくても、あんな高い位置にあって、しかもその本のタイトルを読み取るなんて、ガイはよほどその本に興味があるらしい。


言っても聞かないつもりだろうに、と、ジェイドは仕方なく自分の机に向い、そこのイスを持ち上げると、その本棚の前に置いた。





「悪いなジェイド。」


「いえ、構いませんよ、それで貴方の気が済むならね。あの本でいいんですか?」





椅子の上に立ち、それでも手を伸ばさないと届かないその本を指差す。タイトルはくすんで、ところどころ汚れていたため、何の本かはわからなかった。





「あぁ、その本だ」




一応の確認を終え、ガイに言われた本を取り出すと、古く動かしていないらしく、ひいたと同時に埃やすすががジェイドの顔に落ちた。まさかここまで清掃もせず家をあけていたのかと驚き、顔をそらしてごほごほと咳きこんだ。





「おいおいジェイド大丈夫か?」


「え…えぇ…」




徐々に出すとほこりをかぶる一方だと思ったジェイドは、その本を思い切りひきぬいた。と、予想もしなかった重さに重力と共に後ろへと倒れこんだ。

タイトルに目をとられていた反対に、その本の分厚さに気付かなかったジェイドは、ガイの本能的な判断によって受け止められたが、
本の重さとジェイドを支えるのに必死で、今すぐ降りなければと事を急かした。

それが運の悪い事に椅子を蹴ってしまい、椅子が棚にぶつかった衝撃で左右の本棚が勢いよく倒れてきたのだ。





「うわああ!!?」


「ガイ!!」





ドミノの原理と同じで、左右だけでなくその振動でさらにその横の本棚も倒れ、ガイとジェイドのいる左右の本棚だけなら何とかなったものの、さらに倍に本棚と本が崩れた。


砂埃と大きな振動により、電気の回線がショートして、部屋は真っ暗になった。

勿論大量の本と、合金でできた重い本棚の下敷きになった二人は、それ以前に真っ暗だ。






「ジェイド…大丈夫か……?どこだ…?」




真っ暗で身動きがとれないガイは、埃にむせながらジェイドを探す。

本の重みか、唯一動くのは右腕だけ。その上夜かと思うほど暗く、息も苦しい。





「おいジェイド…?」




もしかすると、今の衝撃で気絶でもしてしまったのだろうか。ジェイドからの返事はない。

徐々に不安が襲い、額に汗がつたった。




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