二万打企画
□魔物の王に育てられた子
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魔物とヒトは相容れないモノ。
ヒトの中に無意識に刷り込まれている常識。
その常識がルークの中にはなかった。
記憶を失ってからルークは保護してくれた人と暮らしてきた。
そして、その暮らしの中には必ず魔物がいた。
ルークにとって魔物は家族当然だった。
故に一度も魔物を怖いと思ったことはなかった。
その考えを保護者はいつも咎めた。
その度にルークは何故咎められるのか分からず首を傾げていた。
「皆を家族のように思うのは悪いことじゃないよ」
ルークは保護者を見た。
一番古い記憶の中の姿よりもほんの少し輪郭が尖っている。
幼さが抜けたと言うのが正しいらしい。
「でも、魔物は怖いんだよ」
その言葉にルークは反論した。
ルークの言葉に困ったような表情を浮かべる。
ほんの少し心が痛む。
「ルーク」
名前も居場所さえも記憶と共に失った。
そんな自分に初めて与えられたモノ。
自分の存在を認められているような気がして名前を呼ばれるのは凄く好きだった。
「これだけは約束して。絶対に------」