二万打企画

□魔物の王に育てられた子
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鈍い音が響き渡る。


殴られ尻餅を付くルーク。
その拍子にルークは剣を手放してしまう。
剣は音を鳴らしながら地面に転がった。
殴られた左頬を押さえながら顔を上げるルーク。
真っ赤な瞳がルークに向けられていた。
ルークは鮮やかな赤い瞳から目を離すことが出来なかった。


「どうにか出来るとでも思ったのか?」


押し殺された低い声。
ルークは何も言わずに俯いた。
何も言わないルークにルークの保護者とも言える青年、ラタトスクは声を荒げた。


「不用意に魔物とは関わるなと教えただろうが!今回はどうにかなったが一歩間違えたら死んでいたぞ!」


ルークの身体が一度大きく跳ねる。
ラタトスクは俯いたままのルークを睨み続けた。


「……俺達が契約している魔物と契約していない魔物は違う」


静かな、しかし威圧感のある声が響き渡る。


「死にたくないなら迷うな」


ラタトスクはルークに背を向け、入り口付近に立つ四人のヒトを見た。
その内の一人はルークに酷く似ている。
道中ルークが世話になったであろう事と馬鹿な事をしようとした事を踏まえ、礼を言うべきか叱るべきか悩むラタトスク。

そんな中、聞こえてきた声にラタトスクは目を閉じた。
 
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