二万打企画

□メカニック達の休息
1ページ/4ページ

夕飯後シャワーを浴び終わった遊星はパソコンの置かれた机の上に何かあることに気が付いた。
長方形の白い紙。
何かのメモだろうと紙切れを手に取る遊星。


「水族館のチケット?」


メモと思っていた紙は二枚の券。
遊星は何故こんな物があるのか分からず首を傾げた。
夕飯前にはなかったので誰かの忘れ物ということはないだろう。
なら何故此処にこんな物があるのかが分からなかった。


「どうしたの?」


遊星の後ろからひょっこりと顔を出すブルーノ。
ブルーノなら何か知っているかと思い訪ねてみるとあっさりと答えが返ってきた。


「あ、それ?お礼に貰ったんだ」
「お礼?」


聞き返す遊星に頷くブルーノ。


「今日出掛けてた時にDホイールが故障して困っていた人がいて、直してあげたら修理してくれたお礼だって」


中々楽しかったからお礼なんかいらなかったんだけどと困ったように後頭部を掻くブルーノ。
Dホイールを弄るのが大好きなブルーノらしい言葉だと遊星は思わず笑ってしまう。
笑われたブルーノは釣られるように笑みを浮かべた。


「遊星は水族館とか好き?」
「行ったことがないから何とも言えないな」


水族館など生まれて一度も行ったことがないので好きなのか嫌いなのかさえ分からない。
券をブルーノに返そうとするが、受け取ろうとはしないブルーノ。
首を傾げる遊星にブルーノはいつも浮かべている人の良い笑みを浮かべた。


「遊星にあげるよ」


目を瞬かせる遊星。
遊星の視線が券とブルーノを行き来した。


「行かないのか?」
「うん、僕一人で行くのも微妙だし。遊星にあげるよ」


誰か誘って行ったらいいよと笑うブルーノ。
遊星は顎に手を当てた。
数秒考えた遊星は意気揚々と定位置に座るブルーノを見た。


「なら、一緒に行かないか?」
「僕と?」


目を瞬かせるブルーノ。
すぐに喜びの表情を浮かべ「行く」と言うと思っていたが、驚いたまま何のリアクションをしない。
そんな姿に不安が膨れ上がった。


「駄目か?」
「ぜ、全然駄目じゃないよ!でも、本当にいいの?」


頷く遊星に顔を綻ばせるブルーノ。
まるでDホイールを弄る前のように浮き足立つブルーノの姿に遊星の顔が綻んだ。
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ