捧げ物

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広がる青。
降り注ぐ光。
そんな快晴と言うべき天気の中、とある一軒家で双子は延びていた。


「暑い……」
「あっつー……」


扇風機の前で完全に伸び切ってしまっているエミルとラタトスク。
扇風機は冷たい風、ではなく生ぬるい風を送っていた。
無風と比べれば遥かに涼しいが、暑いものは暑い。


「クーラー点けようぜ……」
「クーラーが直るのは明日……」


何の嫌がらせなのか、リビングのクーラーは変な音と共に壊れた。
その場にいたラタトスクも壊れたことは百も承知だが、言わずにはいれなかったのだろう。
もしかするとあまりの暑さのあまり壊れたことを忘れてしまっていたのかもしれない。


「あっ!かき氷食べようよ!」
「かき氷ぃ?」


顔を輝かせたエミルの提案にラタトスクは眉を潜めた。
確かにこの家にはかき氷機がある。
かき氷を食べることはラタトスクも賛成だ。
だが、


「エミル」
「何?」
「お前かき氷用の氷を用意してんのか?」


確か家にあるかき氷機は専用の型に凍らせた氷でないと使えなかったはず。
固まるエミル。


「シロップは?」


かき氷のシロップなんて家にはない、とラタトスクは記憶している。
エミルは再びソファーの上に倒れこんだ。
 
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