捧げ物

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薄暗い灰色の空から降り注ぐ雨。
それを屋根下から見上げていたエミルはそっと息を吐いた。


「こういう時に限って当たるんだよね……」


朝の天気予報通りになった空にエミルは再びため息を吐いた。
朝は雨が降っていなかったため折り畳み傘で十分と思っていたのだが、その折り畳み傘を家に置いたままにしたことについ先ほど思い出した。
つまり今エミルは傘を持っていない。


「(これくらいの雨ならあまり濡れない、よね……)」


心なしか雨脚も弱まったような気がする。
数分間空を見上げていたエミルは頷き、決心する。





降り注ぐ雨の中へ足を一歩踏み出した。
 
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