タイトル未定

□おはよう
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ドアを開けるとアンチノミーと同じシンプルな部屋が目に入る。

様々な工具や分厚い本がアンチノミー以上に置かれてあるが、必要最低限のモノしかないといった印象を受ける。
アンチノミーのように猫のぬいぐるみがあるというようなことはない。


彼のエースモンスターがぬいぐるみ化したようだから今度プレゼントしようかな?と思いながらベッドに近付く。


ベッドの中には彼の保護者、彼の有名な不動遊星がいた。






「遊星ー、朝だよ」

ゆさゆさと揺すれば目を開け、すぐに身体を起こす遊星。
彼は基本的に眠りが浅い。
だが、今回もそれが理由ではないだろう。

「おはよう、遊星」
「あぁ、おはよう」

微笑む遊星に微笑み返すアンチノミー。
その笑みに遊星の口元が少し引きつる。
口元は笑っているが、目は据わっている。


「おはよう、じゃなくてお休みなさいって言った方がいい?」


その言葉に遊星は動きを止めた。

「今日は何時頃にベッドに入ったの?僕が考えるには僕が来る直前だと思うんだけど?」

ニコニコしながら尋ねるアンチノミー。
その笑みを前に遊星は視線を泳がせながら必死に言い訳を考える。
視線を泳がせている時点でアウトだが、言い訳だけでもしなくては。

「プログラムのアイデアが、っていう理由はなしね。何があったの?遊星」
「……すまない」

有無言わさないアンチノミーに遊星は負けた。
どうやら今日も徹夜明けらしい。
彼は表向きには『徹夜をしていない』ことにしているが、アンチノミーにはバレバレだった。
遊星は何故わかるのか不思議でならない。


「そんなに遊星は僕と朝食を食べたくないの?」
「そんなわけない!」
「なら、ちゃんと約束は守ってね。僕は『最低一時間は睡眠をとること』って言ったでしょ?仮眠くらいとってよ」

「わかった?」と言われ頷く遊星。
一緒に朝食が摂れないと落ち込む遊星にアンチノミーは優しく微笑む。



「食べた後、ちゃんと寝るなら許してあげる。僕も一人で食べるのは寂しいしね」
「わかった」

その言葉に喜ぶ遊星。
自分も甘いなと思いながらやはり自分が遊星と一緒に食べたいという気持ちが一番強いからだと思うアンチノミー。
それにアンチノミーは徹夜した遊星を怒っているわけでもないので許す、許さないなど関係ない。







一緒に食べる朝食はいつもと同じように美味しかった。
 
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