寓話

□Space Dog
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「で、妹子ならどんな花を選ぶんだ?」

興味津々。
黒い双眸が物語っている。僕は暫く考えた後、一つの野花が脳裏に浮かんだ


「………タンポポ、ですかね。」


そう答えると、それが何故なのかが気になるらしく質問攻めにされた。ワンちゃんだから、野花なのか?!と、少々見当違いのことも言われたが、勿論そうではない。


「空に居るライカが、すぐ真上に居るとは限りませんからね。ライカの場所から花が見えなければ下も子もありません。」

ふわり。と何処からか白い綿毛が飛んで来た。
視線を道端に向けると、綿となったタンポポが風に揺られて、ふわふわと綿毛を飛ばしているところだった。

「このようにタンポポならば飛んで行く事が出来ます。ライカが見える場所に行く綿毛もあるかもしれませんし…飛べる花が一番相応しいと、そう思ったんです。」

そう伝えて微笑むと太子は答えに満足したらしく、そっか。と呟いた。その頬が若干赤くなっている気がする。

「太子…風邪でも引いたんじゃないですか?顔赤いですよ?」

「違うわっ!!とにかく、他にタンポポないか探しに行くぞ!!?」

言うや否や、僕が握っていた筈の手を握り返されてぐいぐい進んでいってしまった。

「ちょ…太子っそんなに引っ張らなくてもいいじゃないですか!!」

「煩い、彼女にあげる花を山ほど探すんだから少しでも時間が惜しいんじゃーーーー!!」


道端にもかかわらず、僕達は騒ぎながら二人で歩いていった。
その空は何処までも青く、ふわりと浮かぶ白い綿毛がよく映えていた。



END.
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