寓話

□Space Dog
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『妹子ー!!今から花を買いに行くでおま!!』

11月3日。
部屋で寛いでいたら突然鳴りだした携帯。着信音から、相手が誰かなど出なくても判る。
溜息混じりに電話に出ると、突然太子からそう言われた。
突拍子もない行動はいつもの事だが、今回は本当に突然だった。


「別に予定もありませんし、構いませんよ」


外出の予定もなく、丸1日空いていたのは事実。
だから今日は借りてきた本を読もうと思っていたのだが−大概、僕は太子に甘いと実感する。

『ぱっひょーい♪良かったぁ実はもう私、妹子の家の近くまで来てるんだよねー』

「Σはぁ??!ちょ…太子どういう……」

言葉は最後まで言うことができなかった。
耳元からは、ツー…ツー…と電話を切られた音が聞こえ、かけ直そうと着信履歴から発信しようとした瞬間


ピンポーン♪


と、来客を知らせるチャイムが鳴る。
出迎えると、満面の笑みを浮かべたやつが居て…

「えへ。来ちゃった☆」

「来ちゃったじゃねぇよっこのバカ男がーー!!!!!」
「Σおあまー!!!!」

右ストレートが綺麗に決まり、まともに喰らった太子はマトリックスみたいにのけぞった。

あんまりだーとボヤく声が聞こえるが、急に来た太子が悪いのでスルーをして外出する準備を始める。

(確かに、さっき僕は構わないと言ったけど…)

もう一言位文句を言わせて貰おうと決意し、支度を終え太子へ移動する。
僕の姿を確認するなり嬉しそうな笑顔を向けられると、小言の一言も出て来なくなってしまい…

ほとほと自分は太子に甘いと実感してしまった。
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