企画
□僕はただきみの手を握って、きみは黙ったまま頷いて。
1ページ/1ページ
今日は雨。
朝からずっと、ひたすら降り続けている。
愛譚学園も、天気の性か今日はいつもほどの活気は無かった。
「葵・・・」
「裏葉先輩?」
「ちょっといいか?」
「はい」
いきなり裏葉先輩からの呼び出しに少しドキりと胸が高鳴った。
どうしよう、何かしたかな。いや、私何もした記憶が無いんだけど
頭を混乱させながら、必死に裏葉先輩についていった。
「あの・・・先輩?」
「いきなりで驚くかもしれないけど・・・」
「・・・?」
「俺、葵のこと好きだ」
私より身長が低い先輩は、頬を赤く染めて上目遣いでこちらを見ていた。
ごめんなさい不謹慎だけどすっごく可愛い。
「あの・・・さ」
「えと・・・、私も、先輩のこと好きです」
多分私の顔は先輩よりも赤いでしょう。
「じゃあ俺と付き合ってくれるか?」
僕はただきみの手を握って、きみは黙ったまま頷いて。
(声が出なかったのは)(貴方の顔を見ると)(今より顔が赤くなりそうだったから)
20110421
神楽 葵