ぎんたま2

□すっぱい失敗
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絡めた指先がひんやりと冷たくて、でも、触れたところからじんじん熱くなっていく気がして。
ぬるい。気持ち悪い。気持ち良い。
無意識に口に出していたようで、どっちなんだよ。と隣から苦笑混じりに声が降ってきた。
んーとね。気持ち悪いのはこんなにお前のことを好き過ぎて手ぇ繋ぐだけで頭ん中も手汗もぐっちゃぐちゃになってる俺のこと。で、気持ち良いのはそれもぜんぶひっくるめて幸せだなぁって感じること。それからサラサラしてるお前の手のひらのこと。

一息に言うと相手は唖然としていたが、ぷいっと顔を反対に背けた。気持ち悪いと思われた?もしかして嫌われた?
繋いだ手を引き寄せて顔を覗き込もうとしたら、不意討ちでげんこつが降ってきた。ひどい。抗議しようとしたら、端から見える耳が赤かった。ついでに繋いでるところがさっきよりも一度上昇した気がする。じっとりベタベタ。何も言わないのを不思議に思っていると、小さく、それはもう聞き取れないくらいのボリュームで、俺も。と返事があった。
それは、お前も緊張してるってこと?幸せに思ってくれてるってこと?それか、気持ち良くて気持ち悪いってこと?聞きたいことはたくさんあったのに、やっと口から出てきたのは、そう。の一言だけだった。

だめだこりゃ。




………………………
なんだかもう、甘酸っぱいを通り越してすっぱい。

どっちがどっちか伝わってるといいな。

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