ぎんたま2

□36.8℃
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36.8℃

ドクドクと、心臓が早鐘を打つ音が聞こえる。はっきり言ってうるさい。

何でこんなことになってるんだっけ。

いつもみたいに非番の日に、いつもみたいに夜半万事屋の戸を控えめにたたく音が聞こえて戸を開けたら、これまたいつもみたいに冬だというのに着流し姿の土方がそこに立っていた。のだけれど。
あいにくそこからの記憶はひどく曖昧だ。

俺、冷え性なんだ。
はーそっか、じゃあ冬はつらいね。
俺ァアレだよ、ガキどもにはさすがに負けっけど並みよりか体温高えみてぇで。昔っから子ども体温だってからかわれてるから、あったけえみたいよ。

確かそんな会話をした気がする。
それが、今、この状況はどうだ。おとなしく土方から抱きつかれて。銀さんうれしいんだけども。すごくうれしいんだけども。ヤダこれなにこれ恥ずかしい。

「ひ、土方…?」
「うん」
「何して…ううん、どうしたの?」
「どうって」
「いや、えらく積極的な…」
「銀時は、」

そこで土方は一度言葉を切った。

「ぎゅっってしちゃだめか…?」

ぎゅっ、と胸のあたりが鳴るのが確かに聞こえた。何コレ。夢ですかコレ。

「ひはひ」

どうやら夢ではないようだ。思い切りつねり過ぎたせいでじんじんする。

「たまには、いいだろ」

唾を飲み込むのを忘れていた喉が、ごくりと鳴った。



………………
そのまま土方が寝付くまで動けなかった男がいるとか、いないとか。
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