SS部屋

□なにをいうのです
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※ぬるいですが、うっすら匂わす程度の描写があるので苦手な方はご注意ください。





「ん…」

愛しい愛しい土方の鼻にかかった声で目が覚めた。目線を下ろせば、俺と同じ身長のはずのその子はまだ肌寒いのか白い背中を丸めて俺の胸にぴったりと身を寄せていた。
いつも寄せている眉間の皺も取れて、今は実にあどけない寝顔を俺に向けている。世界中どこを探してもこの幸せを噛み締めているのは自分だけかと思うと、言い様のない充足感に包まれた。それにしても、あったかい。
いつまでもこうしていたいなんて考えて、土方の体の下に回した腕を更に引き寄せた途端。冷たい感触が体に伝わった。

「え?」

今にして思えば。何故俺はその時その安い煎餅布団を捲ろうなどと考えてしまったのか。いや、気づかなければこのあともっと一生の問題として苦労するわけなのだが。
─ああ。すべては夢で、この冷たい感触が今朝の名残だったらまだどんなに良かったことか。けれど現実はカルカタよりずっと苦かった。

「…………。」

ともかく、目の前の事態のあまりの突飛さ、異常さに、俺はきっかり三秒固まったのち、悲鳴を挙げた。

「ひっ、土方ァァァァ!?」
「っ!?なんだ馬鹿!うるせえ。ガキが目ぇ覚ますだ…」

ろ。

いきなりのことに驚いた土方が悪態をつきながら起きた。そしてある一点を見つめて息を飲んだ。


俺の、股間を。




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