ぎんたま!
□こそあどことば
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子どもたちが出払い、いつもとは違い静かな万事屋。和室からは、小さな吐息と衣擦れの音が聞こえてくる。畳の上には脱いだ形そのままのジャケットとベスト、スカーフが散らばっていた。
明かりもなく、暗がりに浮かび上がる白い指先が、ゆったりと服の上からでもわかる華奢な背中の窪みをなぞりあげる。
「ここ?俺に会わない間にすっかり固くなってる。ガチガチだな」
ひとりじゃなんにもできないもんね?疑問ではなく、断定。男には返事などなくとも相手の身体が手に取るようにわかっていた。実際に手に取ってもいるが。
細かい間隔で、は、は、と息継ぎをする音だけが密室に響く。
「ん、…そこ」
返ってきたいらえに満足そうに口角を上げると、男は実に自然な動作でするすると手を滑らせた。
「あそこは?」
「ど、こっ、」
「触ろうとしてんだこのくそがァァァ!」
ぶべらっ!と声を上げて銀時は赤くなった鼻を押さえた。未だ握りこぶしを挙げたままの土方を不服そうに見やる。
「俺は日頃働き詰めの土方に気持ち良くなってもらおうって、マッサージしてただけなのに…」
「なーにーがーマッサージだ!!てめえ下心丸出しだろうが!確かに腕は認めるが、気持ちいいっつったって手つきがやらしいんだよこのアホタレ」
「えっ!ひょっとして土方感じ、」
「おぶろォォ!!」
「タンスの角に小指ぶつけて死ね」
惜しむらくは、銀時が気絶した今、土方の顔を見た者はいないことであった。
……………………
こんなん出ました。