ぎんたま!

□ポニーテールに天ちゅう
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「んな赤い顔で怒られても怖くねぇよ。むしろかわいいんだけど」
なおもアホなことを抜かす銀時にため息しか出ない。

「……民間人、じゃねぇけど、無関係の奴は下に降りてろ。ここは危ねぇ」
「はあ?今さら何を…」
「続き、してえんだろ」

意図的に声を低めて言うと、銀時はびくりと震えた。がしがしと後ろ頭を掻いている。ザマアミロ、だ。

「……どこでそんな誘い文句覚えてきたの」
「さあな。パトカーで待ってろ」
「………テメーも早く下りてこいよ。あとコレ差し入れね、預かってたから。ちゃんと渡したからな」





***






ヘリコプターの末路を見届けたところで俺はビルの裏手からお目当てのパトカーに乗り込んだ。

「お、おかえり〜。さてさっそく再開しま、っ、んむ」

後部座席に座ってだらしない面で出迎えた野郎の首に腕を回すと、そのうるさい口をふさいでやった。さっきのじゃ足りないのは俺だって同じなんだよ。
乱暴に口をこじ開け舌を捩じ込めば、驚きに見開かれていた目にぎらりと炎が灯った。すかさず上下が反転する。背中を打った。が、そんなものほとんど気にならない。上顎を中でなぞられて、舌には思い切り吸い付かれた。喰われるんじゃないか、というくらい。舌も唾液も何もかもがごちゃ混ぜになって、とろけそうになる。酸欠気味になったところでキスの名残を残してゆっくり顔が離れていった。名残惜しい。けど。

「これで、当分、我慢しろ」

息が上がった。口元の唾液を袖でぬぐう。
酸素が足りないのはお互い様か、頬が上気した銀時をやんわり押し返し上に乗ると、しっかり回収していた手錠をその手にかける。

「あんだよ。今日はオメー随分積極的じゃねーか。どうしちゃったの?公開ストリップの次は手錠プレイですか、銀さん頑張っちゃうよコノヤロー」
「違うわ。我慢しろっつったろ」

はぁっ。うっかり熱っぽい息がもれてしまったが、気づかないフリをしてそろりと銀時の上から降りる。
幼子に言う母のように。人差し指を立て、ひとこと。
「そこで大人しくしてろ、白夜叉どの」
「ちょ、は、えええ!?」
「いいか、俺が戻るまで妙な真似すんじゃねーぞ」

パタン。

鍵をしっかり閉じたパトカーの向こうのアイツは半泣きだったが、これで無事は確保されたな。
万一見廻組に確保されると厄介だ。どこまで真選組──いや、俺個人が介入できるか、わかったものではなかったのだから。その点ウチで預かれば、あとはどうとでもなる。無茶はお互い様だから、何故だなんて野暮なことは聞かないでいてやるよ。
俺は銀時を置いて残りの仕事に戻った。『大将』がまだ待っている─。




ポニーテールに天ちゅう



………………………
ご覧いただきありがとうございます。これで「英断〜」のくだりに続きます!本誌でたぎったバラガキ篇脳内補完土方さん視点でした!書けてよかった!!
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