ぎんたま!

□僕のわがままを聞いてください
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「お、おう」
「お待たせ。なあ、どうする?どこ行きたい?」

にこにこと上機嫌な銀時に、土方はしばし考え、答えた。

「とりあえず、その辺を歩きてえ。まだ店もどこも開いてないだろうし」
「んー、わかった。じゃあ行こっか」

あまりにも自然に手を絡めてきた銀時に土方は思わず顔を見た。

「あ、嫌だった?さっきしてくれたから俺もと思ったんだけど」
「…………嫌じゃない、けど」

人目が、と土方はそっぽを向きながら言った。そのわりに手元はそのままなことに安堵を覚えつつ、銀時はきゅっと力を入れて握りしめた。

「まだ誰もいないし、今日くらいいいんじゃね」

今日くらい、の部分で二人同時に足が止まった。何か話していないと妙に緊張すると思ってのことだったのに、話し出すとかえっていたたまれない気持ちになる。これ以上なく幸せなのに、なんだかむず痒い。
それも同じ気持ちだったのか、かぶき町の見慣れた通りを無言のまま歩き続け、銀時と土方は公園の端のベンチに腰を落ち着けていた。

「銀時」
「はい」
「ふっ!なんで敬語?俺さ」
「…うん」
「いっこだけわがままあんだけど、それ、いいか」
「どうぞ」
「じゃあ目、閉じてろ。良いっていうまで絶対だからな」

銀時がこくりと頷いたのを見て取って、土方は身を乗り出した。

ふに、と唇に柔らかい感触がして離れていったかと思うと、今度は耳許に土方のものとおぼしき吐息がかかる。思わず銀時は肩を震わせた。


ずっとそばにいろよ


「良いぞ」

銀時がバッと目を開けた時には土方は背を向けて立ち上がっていた。

「土方…?」
「飯食いに行って映画見てケーキコースな」

夕方までには帰すから。ぶっきらぼうに言い放った土方に、銀時は慌てた。

「え、お前今日非番じゃ…」
「ガキどもが待ってるのに1日中連れ回すかよ。そう思って夜勤にいつでも入れるようにしてある」

なんとまあ律儀なことでと思ったが、その心づかいもまた土方らしいと銀時は笑った。

「もう手つながねぇの?」
「バカ言ってねぇでさっさと行くぞ」
「へーへー」

やっと銀時もベンチから重い腰を上げる。
最後、ケーキでいいの?と尋ねれば、ケーキ『が』いいんだよ、と土方は背を向けたまま早口で答えた。









………………………
銀さんハピバァァァァァっ!!!
銀誕2011
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