ぎんたま!

□生活には潤いが大事だよねって話
1ページ/1ページ



「いっ…っつー!」
「あーあ、何やってんでぃ」

あきれた声でそう返せば、目付きの悪い眼をこれまた更に鋭くした上司の視線が返ってきた。
唇には乾燥でぱっくり割れた痛々しい跡と血がうっすらと滲(にじ)んでいる。お茶がしみたらしい。湯呑みを文机に乱暴に置く音がした。

「もう春だってのになんでそんなカサついてるんですかね。マヨネーズの採りすぎで水分持っていかれちまったんじゃねぇですかぃ」
「うるせえほっとけ。つかマヨは関係ねえ」
「仕方ないお人だねぃ」
「な」

に、と言い終わる前に腕を掴んで引き寄せると相手の唇ごと言葉を奪う。そのまま唇を離す間際に傷のあたりを舐めてやった。

「俺のリップクリームわけてあげまさぁ」
「…それを舐めちまったら意味ないだろ」
「あれ、珍しく積極的じゃねぇですかぃ?じゃあもっかいしましょうか?」

我ながら素晴らしい提案だと思ったのだが、ふざけんなと振り払われた。いくら凄みを効かせようと、肝心の顔が真っ赤では何の説得力もない。かわいいなぁなんて頭の片隅で思いながら次の言葉を待つ。

「だ、だいたい!何でテメーは毎回毎回ひとの部屋で堂々とサボってやがんだ!!仕事をしろ仕事を!」
「してますぜ。土方さんが仕事サボらねぇように見張る係」
「あほか!」
「あ、間違いやした。重要な任務が追加になったんで」
「…なんだよそりゃあ」
「生活に潤いを与える係でさぁ」

土方さん限定の。と続けると、だったらサボるんじゃねぇと言うので、もう一度『仕事』をすべく顔を近づけた。




……………………………
たまには甘やかしてやろうじゃないか。


なんとなく土方はそういうケアに無頓着なイメージ。一方総悟は意外と気にしてリップとか使ってそう。むしろ土方のためだったりするとなお良し

.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ