小政
□おはようはあなたの隣で
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ゆっくり、目を開ける。
もう朝か…と上手く働かない頭の中で呟いた。
「…、ん……」
もう季節は随分と秋に近づいており、朝からもだいぶ肌寒くなってきている。
ぼんやりと天井を眺めながら、政宗は布団の中で自分の腕をさすった。
(…さみぃ……)
ちらりと横に視線を移してみるが、当然そこには誰もいない。
昨晩この体を愛してくれた愛しい人はいつも、気絶しているであろう政宗の体を清めると自分の部屋に帰ってしまうのだ。
故に、政宗は未だに彼の腕の中で目覚めたことがない。
それが彼なりのけじめなのだと分かっているから、寂しいなんて言えないが。
(Coolじゃねぇな……)
そんなことを考えていたら、なんだか今日は今まで我慢していた寂しさがどっと押し寄せてきた。
とても二度寝をする気にはなれず、そのままむくりと身を起こす。
「……はぁ…」
ため息をついたら、さらに気分が沈んだ。
どうしたら、堅物の彼ともっと恋人らしいことが出来るのだろうか…?
「…失礼致します、政宗様。」
「……!」
その時、襖の向こうから聞こえた声にハッと顔を上げる。
間違いない、いつもこの時間に自分を起こしに此処へ来るのは彼だけだ。
そう確信するのが早いか、政宗の体は無意識のうちに動いていた。
「っ小十郎!!」
「ま、政宗様…!?」
勢いよく襖を開けると、そこにはやはり小十郎の姿があった。
しかしいきなり飛び出してきた政宗に驚きの色を隠せないでいるらしく、その目は見開かれていた。
そもそも、小十郎が起こしに来るより前に政宗が起きていたことなど、今までなかったのだから。
「政宗様、一体如何なされたので……っ!」