長篇小説
□気付いたのは唐突に
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「三蔵は、悟空が好きなんですね」
「そんなわけが…っ」
「では、なぜ悟空を避けるんですか?
悟空に何をするか判らないからではないんですか?」
八戒は、三蔵の言葉を遮り話しを続けた。
核心を突いた八戒の言葉に、三蔵は黙り込んだ。
「…認めたら、どうですか?」
「………」
三蔵は立ち上がり、八戒を置いたまま森を抜けて行った。
「…悟浄、聞こえていたでしょう?」
「まぁな……あの三蔵がねぇ…」
木の影から悟浄は姿を表すと、八戒の隣に立ち煙草に火をつけた。
八戒は、小さく笑い声を上げた。
「…なんだよ?」