長篇小説

□気付いたのは唐突に
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慶雲院では、三蔵以外誰も居ない部屋の中で、悠々と煙草を吹かす三蔵の姿があった。
いつもと変わらない仏頂面だが、どこと無く思い詰めているように見えた。
そんな時、勢いよく部屋に飛び込んで来た人物がいた。

「だだいま、三蔵!!」
「……ああ」

悟空は、そのままいつものように三蔵に近付き、手に触れようとした。
しかし、その手は三蔵の手により叩き落とされた。

「…っ …さんぞ…」
「……っ 悪い…」

三蔵は、悟空に謝るとそのまま逃げるように部屋を出て行った。
一人残された悟空は、手を握り絞めながら、床に沈み込んだ…
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