長篇小説
□気付いたのは唐突に
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悟空は、机の上に置いてあった饅頭を手に取ると、口に放り込んだ。
「むぐ…んぐっ…それから、俺に触らない」
「触って欲しいのか?」
「…悟浄、怒りますよ?」
「すみません」
八戒は、悟浄ににっこり笑いかけながらそう言うと、悟浄は何かを察したのか直ぐさま謝った。
「悟空、詳しく教えていただけますか?」
「うん。いつもなら、何かしたら殴るのに、最近は全く殴らないんだ」
「……ちょっと変ですね」
煙草の量はともかく、悟空が何かしたときに殴らないのは、普段の三蔵では有り得ない事だった。
八戒は不審に思いながらも、そろそろ暗くなり始め、悟空が帰る支度をし始めたので表まで見送った。