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□大丈夫、そうやっていつも乗り越えてきたから
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『はぁ…』


今日何度目の溜め息だろうか。

静まり帰った部屋。

隣にいない彼の温かさ。



今日も、他の女の子のところに行っているんだろうな。


もちろん、彼が望んで行ってるわけじゃないことくらい知ってる。

こうなることも分かって付き合った。

でも、どうしても…



『私は、辛いよ。綱吉…』


月が雲に隠れ、電気をつけていない部屋は
闇に包まれた。



キィ…



ドアの開く音。



コツコツ、コツ…


靴音はベットの前で止まり、
ベットサイドに腰掛けた。



ツ「名無し、寝ちゃった?」


ふわりとした声。

私の待ってた、

大好きな彼。


『寝てないよ、おかえりなさい』

ツ「ただいま」



ぎゅう、と私を抱き締める。

綱吉からは香水の香り。


それに悲しくなって、綱吉の胸板を押して離れた。


ツ「…」

『あ…ご、めんなさ…』



ギュウ、


息も出来ないくらい、強く抱き寄せられて身動きが取れなくなった。

今は、私だけの、綱吉なんだ…。



ツ「ごめん、俺…
本当に愛しるのは名無しだけなんだ、
だけど…、」

唇を噛み締め、辛そうな表情を浮かべる綱吉。


"しょうがないことなんだぞ。
お前は耐えれるのか?"



綱吉と一緒にいることを決意するまえ、
リボーン君に言われた言葉が甦る。



『私は、こうやって綱吉といれるだけで幸せだよ。
本当は行って欲しくない、けど
分かってるから、帰ってきてくれるって、
―信じて待ってるから』


ツ「…名無し、」


『大丈夫、そうやっていつも乗り越えてきたから』




私は微笑み、綱吉に軽くキスをした。



そうして次の日も、涙をこらえて
綱吉の帰りを待ち続ける。


いつか、ずっと
彼が私の隣にいれる日が来るまで。






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