企画

□special day
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「よう、毛利!
めりーくりすま〜す!」

「貴様と祝う筋合いはない」


『special day』


年に一度の祭典、くりすます。
南蛮では、身内や友、恋仲の者と宴を催すらしい

何故我は長曽我部と其の日を共にしているのだ…
身内や友でもなければ、恋仲というわけでもない

むしろ、宿敵というべきではないのか…?


「んだよ、相変わらず冷めてんな〜」

「貴様が暑苦しいだけであろうが」

「そんなこたぁねぇだろ。俺よりも暑苦しい野郎なんざ、いくらでも…」

「…それよりも、その格好は何ぞ」

「あぁ?知らねぇのか?
こいつぁ、さんたくろーす、っつってよ。
餓鬼が欲しいもんを頼むと箱に乗った爺さんが、届けてくれんだとよ。」

「…ふん、それぐらい知っておったわ」

「…絶対知らなかったろ、アンタ」

「黙れ、それ以上申せば斬るぞ」

「まぁまぁ、落ち着け毛利!
今日は俺がその、さんたくろーすっつー爺さんに成り済まして、アンタに贈り物を持ってきてやったぜ!」

そうして我の前に出された一つの大きな白い袋。
何なのだ、これは…


「長曽我部よ、これは何ぞ?」

「こいつに、贈り物を詰めて届け……て、あれ?」


慌てた素振りで白い袋をはたいている。
一体、何がしたいのだ?


「ないっ!ここに入れておいたはずの…!」

「おい、その袋…下が大きく破れておるぞ?」

「なっ………なぁにぃいいっ!?
い、いつ何処で破れちまったんでいっ!?」

「我が知るはずなかろう」


愚かな…
入れていたものを落として気付かぬとは…

だが、待てよ。
今此奴が必死で探しているということは…まさか、我への贈り物が……

べ、べつに要らぬが、だがやはり…


「……馬鹿者、我への贈り物を落としてくるとは、貴様…覚悟はできておるのだろうな?」

「わ、悪ぃっ!
落とすつもりなんざ、さらさらなくてよ…!」

「………もういい。
貴様なんぞに、最初から期待などしておらぬわ」


顔を背け、チラリと横目で見ると珍しく落ち込んでいる。
この漢に落ち込むという言葉があったのか。


「なら……
俺がアンタへの贈り物だ!」

「っ!?
よ、よせっ!抱き着くでない長曽我部!離せっ、離せと申すに!」

「…離さねぇぜ」

「なっ…ざ、戯れ事を…!」

「贈り物を忘れたかわりに、今日はずっとアンタの傍に居るぜ?」

「ご、御免被る!」

「めりーくりすます、毛利?」

「ちょっ、やめっ…!
うわぁああっ…!!」



END



……………………………
その後この二人がどうなったかは、ご想像にお任せ致します(笑)

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