企画

□present
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『present』


「梵天丸様、そろそろ寝られませ?」

「嫌だ、起きてる」

「なれど、それではサンタクロースが来ませんぞ?」

「梵天丸は、直接サンタクロースさんからプレゼントをもらうんだ!」

「まったく…」


夜になってからというもの、この会話しかしていない気がする…


だが、いくら梵天丸様の願いとはいえ、これだけは断固反対せねばならぬ


何よりもサンタクロースの身元がバレてしまえば、元も子もない…
ゆえに、どうしても寝かせねばならんのだが…


寝るどころか、先程より活気づいておられる…
まったく…どうしたものか…


これでは、この小十郎の方が先に寝てしまいそうだ…
あってはならぬことだというのに…


「梵天丸様、サンタクロースは早く寝ない子供には、プレゼントを届けに来ないのですぞ?」

「何で小十郎が、そんなことを知ってるんだよ?」

「それは……この小十郎がサンタクロースと友にございますゆえ」

「えっ!?
小十郎とサンタクロースは友なのか?!」

「えぇ、ゆえにサンタクロースから聞いたのです。
どのような子供の元へプレゼントをもってきてくれるのか」

「……そうか、うん分かった。
じゃあ、サンタクロースと小十郎の言う通りにする」

「さすがは梵天丸様。
貴方様であれば絶対にご理解して頂けると思っておりました」


かように、いつも言い包めてしまっているようで申し訳ありません…
なれど、こればかりは、この小十郎も譲れませぬ


「じゃあ、小十郎も一緒に寝よう?」

「……………は?」

「小十郎も早く寝たら、サンタクロースからプレゼントがもらえるかもしれないぞ?」

「い、いえ、この小十郎はもう大人ですので…」

「何故だ?
子供しかプレゼントが貰えないのは不公平だ!
やっぱり梵天丸がサンタクロースに直接、小十郎のプレゼントも頼む!」

「こ、小十郎のことは大丈夫ですので、貴方様は一刻も早く寝られた方が…」

「嫌だ、起きてる!
絶対起きてる!」


しまった…
混沌としてきた…

それも、絶対、とは…

この夜が終わるまでに何とかせねば…!


「小十郎、玄関の鍵、開けておいた方がいい?」

「かようなことはせずとも、大丈夫ですから!」


クリスマスってなぁ…

いいけど、ちぃと厄介だ…



END


……………………………
融通のきかない梵天丸に、たじたじの小十郎。いつものことながら、苦労人です(苦笑
 

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