小説

□with me
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一切の感情を捨て去り任務をまっとうする

それが、どんなに人を想う感情であろうとも…
決して伝えちゃならないし、言えなくても悔んじゃならねぇ

それが忍の定め

なのに…
どうして、旦那はそんなに……


『with me』


「佐助ーっ!!」


任務から帰還するなり館中に響き渡るいつもの声

その声を聞くと、己が帰ってきたことを実感する

俺様の元へ駆け寄ってくる我が主。
いつもながら、その笑顔に負けて、つられて笑ってしまう俺様がいる。


「猿飛佐助、只今戻りました。」

「うむ、大儀であった!」

「有り難きお言葉。」


ふと、旦那が俺様の腕に目を止めた。

あっちゃ〜…やっぱり目立つか、この生傷…

俺様としたことが、罠に引っ掛かってこの有様。


「佐助、これは…」

「ん?あぁ、これ?
俺様としたことが、ちょいとヘマしちゃってさ〜。いやぁ、情けない話だよね〜、忍なのにさぁ」

「……………」


笑ってごまかしてはみたけど、そんなごまかしが通用するような人じゃないんだよね、うちの旦那は…

今にも泣きそうな我が主


「ねぇ旦那」

「…何だ、佐助」

「忍のために、そんなに気遣う必要はないんじゃない?」

「…何故そのような事を申すか、佐助…」

「それは…」


それはね、旦那。
俺様が忍だからさ

忍に感情は必要ない。
抱く事も許されないし、抱かれる事すらも。

なのに、旦那の事になると、ついついいろんな表情を見せがち。

ほら、今だって…
俺様の表情、困惑してる


「忍の使命たるもの、某も心得ておる!しかしながら、もし、もし…佐助に何かあれば、この幸村……」


旦那の目から涙が零れちゃ、さすがの俺様もお手上げ…

そして、気付けばあろうことか、旦那を抱きしめてる。


「旦那…どうしてそんなに優しいんだい?」


ずっと聞きたかった、この質問

旦那、旦那はどうして…


「それは…某にとって、佐助が必要不可欠な存在だから…。

そして何より…


佐助の事が好きだ…!」


旦那、今…何て?

旦那が、俺様の事を…


好き?


恥ずかしそうに俯く旦那を見て、俺様、我慢ももう限界

「旦那、


俺様も旦那の事が好き」


あ〜あ、言っちゃったよ

でも、何だかスッキリしたから、ま、いっか

旦那、

これからはずっと旦那のこと、

好きでいさせてくれよ?


END



……………………………いつもはクールな佐助も、幸村の真っすぐな気持ちには勝てず…
そんな佐助を表してみました。
 

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