本編小説

□第1話『日常』
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一夜が明け、朝。
海鳴市の近郊にある古びた屋敷にも日の光が照らされる。









「ん…」



その朝日を浴びて、一人の少年が目を覚ます。


彼の名は『小金井 綾斗』
この屋敷のただ一人の住人であり、家主である。



綾斗「…朝か……まだ眠いな…」




現在の時刻は6:00ちょうどである




ここから、彼の通う私立聖祥大附属小学校まではそれなりに距離があり、そろそろ起床し登校しなければならないのだが…




綾斗「…一時間目は国語だし、遅刻でもいいかなぁ」



綾斗はそう呟くと、頭から毛布をかぶる。

二度寝する気満々である。





「やめておけ、綾斗。またあのお嬢さん方に怒られるぜ?」




彼一人しかいない部屋からもう一つの声が響く。


知らない人からすれば、心霊現象のように思えるが、彼にとっては日常会話の内の一つであった。




ザルバ「先週も同じ行動をして、昼休みにあのお嬢さん方に説教を食らったことを忘れたか?」




その声は彼の部屋のテーブルから発っせられていた。

いや、正確にはテーブルの上にある髑髏の指輪からだった。






綾斗「…忘れてはいないさ」



綾斗はベッドから体を起こすと、その視線をテーブルの上のザルバへと向ける。



綾斗「しかしな、ザルバ。人間には三大欲求というものがあってだな…」





ザルバ「起きたなら早く準備しな」


綾斗「………。」


ザルバ「睡眠なら、学校ですればいいじゃねえか」


綾斗「…確かに」


学校に遅刻し、説教をされるよりは授業中居眠りをしたほうが危険度が低いと思ったのか、綾斗は素直に起き上がる。









それが、安易な考えと気付かずに…



 
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