Short
□True or False
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一瞬、嬉しかった。僕を見付けてくれた事が。
だけど、コイツはもう僕のことを好きじゃない。
僕の好きだったセバスチャンじゃ、ない。
「…何の用だ。」
突き放すような口調で吐き捨てるシエル。
「お迎えに参りました。もうそろそろ、アフタヌーンティーの時間です。お部屋に戻りましょう。」
「………ッ!僕のこと、嫌いなんだろう!?なんで今さら…っ!僕は自分を嫌いな奴に側にいろなんて無理は言わない!さっさと行け……ッ!」
「坊ちゃん、」
セバスチャンはシエルをふわり、と抱きしめた。
「…なっ、離せ!」
シエルがセバスチャンの腕を振り払おうとすると、セバスチャンの紅茶色の瞳は申し訳なさそうに、揺れる。
「私の話も聞いて下さい、坊ちゃん。」
「……今更何を……っ」
「落ち着いて聞いて下さいね……。グレルさんが私に飲ませた薬は、‘本音とは反対の事が出る薬’だったんです。」
「は?」
「私はもう元に戻っております。……効能時間は短時間だったようですね。……つまり…、」
シエルが口を開く。
「……嫌いって言ったのは?」
「……好き、ということですね。」
「じゃあ…っ…欝陶しいって言ったのは……?」
「……可愛らしい、ということですかね。」
「……近付くなって…言ったのは?」
「もう離さない、ということです。」
セバスチャンの指が、シエルの涙を拭う。
「坊ちゃん、私の心はいつも貴方の傍にありますよ。」
そう言い、セバスチャンはシエルに優しいキスを落とした。
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