Short

□True or False
4ページ/5ページ





一瞬、嬉しかった。僕を見付けてくれた事が。


だけど、コイツはもう僕のことを好きじゃない。



僕の好きだったセバスチャンじゃ、ない。



「…何の用だ。」


突き放すような口調で吐き捨てるシエル。



「お迎えに参りました。もうそろそろ、アフタヌーンティーの時間です。お部屋に戻りましょう。」


「………ッ!僕のこと、嫌いなんだろう!?なんで今さら…っ!僕は自分を嫌いな奴に側にいろなんて無理は言わない!さっさと行け……ッ!」


「坊ちゃん、」


セバスチャンはシエルをふわり、と抱きしめた。


「…なっ、離せ!」


シエルがセバスチャンの腕を振り払おうとすると、セバスチャンの紅茶色の瞳は申し訳なさそうに、揺れる。


「私の話も聞いて下さい、坊ちゃん。」


「……今更何を……っ」


「落ち着いて聞いて下さいね……。グレルさんが私に飲ませた薬は、‘本音とは反対の事が出る薬’だったんです。」


「は?」


「私はもう元に戻っております。……効能時間は短時間だったようですね。……つまり…、」

シエルが口を開く。


「……嫌いって言ったのは?」

「……好き、ということですね。」


「じゃあ…っ…欝陶しいって言ったのは……?」


「……可愛らしい、ということですかね。」


「……近付くなって…言ったのは?」


「もう離さない、ということです。」


セバスチャンの指が、シエルの涙を拭う。



「坊ちゃん、私の心はいつも貴方の傍にありますよ。」



そう言い、セバスチャンはシエルに優しいキスを落とした。



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ