短編集

□人魚姫の夢
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私は海原を見つめていた。

「ハァ…」

ため息を吐いてしまう。

「いい加減諦めなきゃいけないんだけど…我ながら女々しいな」


苦笑しながら、視線を移せば、私の好きな人。
でも、好きな人は私の気持ちを知らない。
更には彼女がいる。
素直な気持ちは、彼女さんからあの人を奪いたいけど、
そんなことしたら、あの人に嫌われるかもしれない。
あの人は、彼女さんが好きなのだと端から見ても分かるくらい。

だから、私のする事はあの人の気持ちを無視してるから、
だから実行すれば、確実に嫌われる。








「……この気持ち、海に飛び込めば、泡になってくれるかな……」






こんな事考えてる時点で、大分疲れてるんたと自分でも分かってる




けど、あの人への気持ちは変わらない。





もしかしたら、大きくなる一方かも知れない。




この気持ちは、あの人にも私にも悪いものでしかないと言うのに、止める事ができない。

「このままじゃ、あの人を、彼女さんに何するか分からない……」




最近、気付くと私の手は刃物に向けられてる。
慌てて止めるけれど……





いつ、歯止めが効かなくなるか分からない…
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