□目撃
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どうする?

んなの決まってる

「そんじゃァお言葉に甘えて、護衛でもしてもらおうかねィ」

罠だと知ってて

乗るわけねぇだろ

「そうこなくっちゃ」

くすりと笑ってするりと腕を離した神威


その瞬間


俺は目をの前の車道に向けて思いきり神威を突き飛ばした


トラックの窓ガラスにふわりと映り込んだ神威が、目を丸くする

俺は身を翻して走り出す

背後からは耳をつんざくようなブレーキ音

無我夢中で駆けて、駆ける

トラックにぶつかった音はしない

狙った通り、反対車線まで吹っ飛んだのだろう

俺は腕力があるほうだし、神威は軽い
 

すぐにトラックの走り去る音がした


予想外だ、早すぎる


直線の長い道にはまだ、曲がれる場所は無い


緊張で強張った体が重い


息が、きれる


神威は今‥その場に留まり、見ているだろうか?


それとも‥追って来てるんだろうか


激しく心臓が騒ぐ

次々と汗が流れる



振り返ってはいけないと、本能が知っている

 
 

あと数歩

ここを曲がれば、分かれ道の連続だ


パンッ


それは一瞬

右脚にカッと熱が走って

グラつく体

ぐわりと迫って来る地面


なんだコレ‥


右脚の太腿からゴポリと血が溢れて、アスファルトにじわりと広がる


そうかアレ

銃声だ


信じられねェ‥

日本じゃそれ



反則だろ



 
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