文
□抵抗
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「ヤるぞ総悟」
聞き慣れた男の一声に顔をあげた。
土方の姿は目隠しをされていて見えないが、
パサリと響く衣擦れの音はかなり近い。
「シャワーは?」
「後だガキ」
捕らえられて、ふた月。
俺は手足の自由を手錠で奪われ、
視界を目隠しで覆われ続けている。
どんな場所にいるのかも定かではなく、土方しか訪れない閉ざされた所という以外の情報はない。
そんな状態だ、自力で真っ当な生活なんかできない。
食事を摂るのも
用を足すのも
すべて奴の手を借りながら生活している。
従順に、言われるがまま。
捕らえられてから二日目に
俺の排泄を見て喜ぶ土方のイカれっぷりを知り
軽蔑を通り越して感心してしまった俺は、
その時点で
すべての抵抗を止めた。
薄々知っちゃいたが
土方は本当に変態だった。
俺が受けている仕打ちは、常人ならばとてもじゃないが耐え切れない凌辱だ。
無言で耐え忍ぶよりも、残りの人生諦めて舌を噛み切る方が余程真っ当な反応かも知れない。
が
残念なことに
ドSの異名で知れているアブノーマルな俺には辛抱のできる範囲なのだ。
されるのは辛いが
するぶんには俺も嫌いじゃァねぇ。
だからこそ
この状況でどうすべきかってこともちゃんとわかる。
俺や土方みてーなレイプ願望の強い奴に絶対にしちゃいけねーこと。
それは
嫌がる姿を見せること
俺等みてぇな奴らは泣き叫ばれたところで同情なんざ毛ほどもしねぇ。むしろ興奮し、喜ぶだけなのだ。
ならば俺はその逆をやるまで。
この尋常ではない監禁生活を俺なりに楽しみ、享受することで奴を萎えさせてやろうと決めている。