□嘘
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確かに俺は好きにして来た。


気に喰わねぇ奴は好きに殺ったし、

欲しい物はいくらしようが何でも買った。


マフィアの首領(ドン)に囲われてからの俺は、奴の権力を笠に着て傍若無人の限りを尽くした。


ヤバイ奴とは知っちゃいた。

だが、少年好きの奴のこと。俺が育ちすぎれば金を渡され自由にされると信じてた。


あの客が来る日まで。


そいつはボスお抱えの情報屋で、死体愛好家としても有名な男だった。

仕事を終えた男は、新しく手に入れた死体の写真を旧友であるボスに披露していた。

「死姦ってのはンなにキモチイもんなのか?」

「いいですよ、病み付きになる」

「腐るだろ」

「処置をすればすぐには腐りません。
40〜50年は持ちますよ。
惚れた相手の老いた姿なんざ見たくないでしょ?
死体にすればずっと綺麗な姿のまま傍に置ける」

男の話に妙に興味を示した土方(ボス)は次々と質問をする。

なに詮索してんでィ、気持ち悪ィな土方。早く行こうぜィ?

なんて、いつもの俺なら軽口を叩くところ。何の声も出せなかった。

土方が愉しげに俺に笑いかけたからだ。
 
 
「だってよ総悟?どうする?」

ああ、アンタはベッドでいつも言ってた

『いつまで俺ンとこに居る気だ?』

俺はなんて答えてたっけ?

『一生』



神様これは罰ですか?



嬉しそうに笑うアンタ。


俺の欲しいモノなんでもくれるアンタはついに

アンタと俺の無茶な願い

両方叶える術を見つけた


「なあ…総悟、お前今日でいくつになった?」
「18でィ」
「お前‥これからも俺と居てェか?」

さあ、なんて答えようか。

YES?
NO?

「‥居てェや」


どこまでも嘘つきな俺は今日、自分の嘘に殺される。


END

 

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