□末路
1ページ/6ページ

 


総悟のお母さんが事故で死んだ


はじめは自殺だと思われてた

猛スピードで車ごと海に飛び込んで‥溺死

でも、車のシートから総悟への誕生日プレゼントが見つかって

自殺じゃない、って話しになった


それから数日が経って、
青い顔をした総悟が警察に連れられて家に来た


お父さんが失踪したらしい


総悟には親戚がいないから

家で世話をしてやれないか、ということだった

街の孤児院には空きがないから、このままじゃ隣街の施設行きだ、なんて

脅し文句つきで

この街に孤児院は無い

警察がいう“隣街の施設”ってのは


冷たい路上


ストーリートチルドレンの仲間入りってこと


お人好しな神楽に頼まれて親父は書類にサインをした

総悟は扉にもたれかかって、そんな神楽を見ていた

知ってる

総悟は神楽が好き

小さい頃からずっと

俺はそれが面白くない


だって、総悟は俺の初恋だから


親父はハゲ頭に被さったズラを直しながら仲良くな、なんて言ってくる

流石にギクリとした、っていうのかな

家は広くないし、妹の神楽は女だから、当然なんだけど‥

ああ、そう

神楽は女

今年の夏何度かプールを
休んでたんだとか

神楽と同じクラスの総悟が頬赤らめながら、耳打ちで報告してきた


そんな話、興味ない


ただ、耳にかかった総悟の息が凄くて

眠れなくなって、俺ははじめて自慰したんだっけ


そんな総悟が、俺と同じ部屋で暮らすことになった


我慢できる訳がないよね


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ