ジャッカルに教科書を貸してほしいと頼まれたので

昨日読んだ漫画みたいにその日習うであろうページに《スキ》と書いた。






【テストには出ません】






メールの保存BOXには送信出来ていない《スキだよ》の4文字。

送る勇気が無いんじゃなくて、メールじゃ味気ないと思ってそのままだ。



この想いを早く届けたいと思っているのだけど、

直接言うのはやっぱり照れる。



どうしようかと悩みながら手に取った少女マンガにさっきの手法が載っていた。

と言っても漫画のは男の子が借りに来て、

返って来たらスキと書いてあったというベタなもの。



だったら私がジャッカルに借りに行くべきだがそれは無理。

ジャッカルの教科書は丸井や仁王の教科書のようなものだから。



使えないなと悪態をついたら次の日に

ジャッカルが教科書を貸してほしいと言ってきたから驚きだ。



私は1限目に必要だからその後取りに来てと伝え、

ジャッカルのクラスにいる友達に進み具合を聞いて、

そのページにシャーペンを走らせたのだ。



放課になると約束通りジャッカルがやってきた。


「悪いな」と少し申し訳なさそうな笑顔。

「桑原の頼みですから」と悪戯に笑えば

「ありがてぇ」と笑顔が返ってくる。


私の手元から私の想いを乗せた教科書がジャッカルの手元へ移る。


ジャッカルは一体どんな反応をするんだろう。




返ってきた教科書を見て、

私は書き間違えていたことに気付く。





スキじゃなくて、




ダイスキ。


by 真優



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