真優’ｓ②
□きみとぼくのバレンタイン
1ﾍﾟｰｼﾞ/2ﾍﾟｰｼﾞ
あまいあまーいきみとぼく。
そうなりますように。
【きみとぼくのバレンタイン】
「なあジャッカル」
「ん？」
「今年はチョコもらうなよ」
「毎年貰ってねぇよ」
帰り道。
「俺モテねーし」と人の気も知らないでジャッカルは言う。
「去年赤也にチロルチョコもらっただろぃ」
「自分の買ったついでにな」
「仁王から派手なチョコもらってたの見たぞ。それに柳からもチョコもらってたろぃ」
「貰ったけど要らないからって押し付けられたんだよ」
「幸村くんと柳生に花束もらってた」
「チョコじゃねぇぞ」
「…………」
あぁいえばこーいうな！
赤也はまだかわいいにしても仁王のは気合い入りすぎだったぞ！
柳のも「カロリー控えめだそうだ」って完全に手作りしてきてたし、
幸村くんと柳生の花束なんてブーケに近かったしな！
「ブン太は遠慮しないで貰えよ」
そんな人の気を知ってか知らずか呑気な言葉が聞こえてきた。
確かに毎年山のように義理だなんだともらうが、それはジャッカルと付き合う前のこと。
「もらわねぇよ」
「何でだ？」
「なんでって、オレにはお前がいるからだよ！」
分かるだろぃ！
「そんな事言わずに貰えよ」
「お前、オレが他の女子からチョコもらうの平気なわけ？」
オレはイヤだね！ジャッカルが他のヤツからもらうなんて。
特にテニス部員のチョコはよ！
「うーん…俺は女子みたいな大層な手作りチョコは用意出来ねぇし
山のように貰ったチョコを嬉しそうに食べるブン太の顔好きだからな」
「！」
「やっぱブン太が幸せそうな顔してるのが一番だし、かまわねぇよ」
「ジャッカル…」
お前ェェ良い笑顔でなんてことを！
かわいいじゃねぇか！
「オレがスッゲー心狭い余裕ないヤツみたいじゃねぇか」
「そんな事ないぞ。ヤキモチ妬いてくれて愛されてるんだなぁって思うし」
「そりゃお前…ヤキモチくらい妬くっつの…」
なんか面と向かって言われると恥ずかしいだろぃ！
「大丈夫だよ。チョコ以外も今年は…今年からは何も貰わねぇから」
「絶対だぞ？チロルも花もダメだかんな！」
「分かってるよ。ブン太の嫌がる事はしない」
「っ！そ、それでいいんだよ！」
「はいはい」
約束だかんな！
うん、これで今年は安泰だ。
けどそうは言っても自分だけ色々もらうのも気が引けるな…