りとる らばーず

□りとる らばーず
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 ぽかぽかと暖かく、のんびりとした時間を過ごしていた本日。

 今日は友達が来るからと朝からワクワクしていたひめが、時間がきたらしくパタパタと来客用の門の所まで走って行った。

 学園の人間が来るのであれば、ひめはそう言うだろうが、言わないところを見るとそうではないらしい。

 近所で知り合った子供でも呼んだのだろうか。

 だったら、子供は子供同士で遊ばせておけばいい訳で、俺がこの場に居る必要も特にない訳だが。



「ご主人様〜♪ お友達のねこちゃんです」



 猫───?

 連れられてきたひめの友達とやらを見て、俺は暫く言葉を失っていた。



「ひめたまのご主人たま、はじめましてです」










りとる らばーず











「あー、跡部ん家に遊びに来てるんだ? じゃあ俺、今から行くー! 実はまだ会ったことないんだよね」



 ねこと紹介された猫耳姿の小さな女の子を目の前にした俺は、彼女の身につけている服を見てすぐにジローに電話していた。

 この手の服を作るような人間など、母親を除いては一人しか知らない。

 クリーニング屋の息子である芥川慈郎、こいつだった。



「それでですね、ねこは無事にご主人たま見つかったから、ちゃんとお家があるのですよ」



 ほわわんと話す猫耳の小人に。



「よかったです〜。ふぉくしーちゃんもルウくんも、ちゃんと新しいご主人様の所で楽しそうなのです☆」



 ニコニコと話すうさぎ耳の小人。

 聞けばうさぎ以外にも色々と小人たちは居るらしい。

 そんなの、聞いたことねぇぞ。



「へぇー。でも俺ん所に小人用の服作ってって来たの、ねこちゃん所のバンドの兄ちゃんだけだから他は知らないなぁ」



「そうそこらに小人だらけだったら、今頃色々騒がれてるだろうよ」



 ジローの言葉にこう返し、幾分かまだひめよりも小さいねこを見た。

 彼女たちは風を使ってお互いのことを報告しあっていたみたいだ。

 あ、だから風の便り───?

 それは違うか………。

 空の上には小人たちの世界があるらしく、時々風に乗って俺達の所に来るらしい。

 変わった世界もあるもんだと、変わった世界に居る俺が言う話じゃねぇが、そう思った。















「勝負です、ねこちゃん! お子様ランチの旗を倒して食べたら負けなのですっ♪」



「むむっ、負けませんっ!」



 出されたお子様ランチと格闘する小さな彼女たちを見ながら、新たな世界を実感しながら穏やかな風を楽しんだ、ある日の午後。



「ていうか跡部、旗倒さずにどうやって食べんのかな?」



「───さぁな…」







20090603

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