むしゃむしゃ

□恋、束縛
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あれからしばらく沈黙が続いてる。
ネウロは凄まじい勢いであたしの少女漫画を読み漁ってて違う意味で怖い。

あたしはというと、携帯をいじるくらいしかやることがなく。


〜♪〜♪〜


そんなときあたしの携帯が鳴る。

発信者は2つ上の先輩だった。
あたしはネウロに背を向けた状態でベッドに座ったまま電話に出た。


「はい、もしもし。」

『あ、俺だけど〜今大丈夫?』

「大丈夫ですよー」


他愛もないおしゃべり。
ネウロとの沈黙で少し疲れてたのか、普通の会話がいつもより楽しく感じた。

のはつかの間。


「切れ。」

「え?」


耳元でネウロの囁き声が聞こえて横に振り向く。

「我が輩と共にいる空間でそんなくだらん雄と会話をするな。」


そう言ったネウロの顔は、なぜかさっきまでのつらそうな影はなくてなんだか嬉々としていた。


『かおり?』

「あ、ごめなさい。誰か訪ねてきたみたいなんで切りますね。」

『ああ…じゃあまた連絡するわ』


ごめなさい、と電話を無事切ったところでネウロの方に向き直る。


「ちょっとなんんっ…」


また言い終わらないうちに口を塞がれた…でもそれはネウロの唇で…。


キス…!?

こいつの唾液は確か危険だったはず!
だって弥子ちゃんがこいつのよだれで枕が音をたてて溶けたって言ってたし!


「んーっんーっ」


いつまでも離れないネウロの肩をグーで叩く。

このままじゃ溶ける前に窒息する!


「なんだ?」


「はふう…なんだじゃない、あたしの唇溶けちゃう!そして苦しい!」


息をついて一気にまくし立てる。
だけどそんなのお構い無しに再びネウロの顔が近付いてくる。


「もうだからいきなりなんなの!」


そう言って近付いてくるネウロの唇に手を当てて止める。

ん?なんか痛い!ピリピリする!


「ちょっとネウロ!」


あたしがキッとネウロを睨むと、彼はやれやれと話始めた。


「先程貴様に問うたことの答えが出たのだ、我が輩は貴様に恋をしているらしい。」

「な、なんでわかったの?」

「貴様が先程他の雄と電話をしているときに、感じたことのない苛立ちを経験した。これがいわゆる嫉妬というものなのだろう。」

嬉々として話すネウロに圧倒されながらも、あたしは少しネウロをかわいいと思った。

「どのマンガにも恋をした者の嫉妬した心理が描写されていた。我が輩の先程の苛立ちはそれに酷似している。そして解決したのだあの気持ちの謎が。」


「うん、それで?」


「気持ちの正体がわかれば自ずと解決策が見えてくる。貴様を我が輩のものにすればいい。」

「…え?」


「現に貴様と唇を合わせたとき、少し満ち足りた気分になった。…ム…、だがやはり圧倒的な何かが足りない。」


そう言い終わるとネウロは腕を組み、またもや考えているようだった。


ねえ、ネウロ。
その足りないのってさ…


「あたしの、気持ち?」



小さく呟いた言葉が聞こえたらしい、ネウロの目がキラキラしだした。



「そうだ、貴様の気持ちだ。貴様は我が輩に恋とういうものをしているか?」


腕を組み上から見下ろしてくるネウロに、有無を言わさない雰囲気が出てるのは気付かないふりをしておこう。

あたしは、あたしの気持ちを正直に伝えなくちゃ。


***
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