展示用
□魔の踏み切り
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十「はじめまして。
フフ//助かってよかったね。」
十叶先輩は世にも楽しそうな顔をし、夕暮れを背にして立っていた。
『あの…えっと、今のは………』
十「彼はね、淋しがり屋なの。だから人を連れて行こうとするんだよ
彼女はそれに関わちゃたんだね…。
かわいそうだけど、仕方ないよね。誰だって淋しいのはやだもの」
そう言って、十叶先輩は路線の手前の柵にしゃがみ込む。
『あの…彼女ってのは……』
十「彼女は、この物語の1番最初の被害者だよ。
そして、この物語の鍵になっちゃった子。
貴女も聞いたよね。“魔の踏み切りに連れて行かれた彼女”の話し…………」
先輩の言葉は、夕暮れ時の空に響き、一つ一つが私の頭に残った。
いつの間にか、私は十叶先輩の言葉に聴き入っていた。
まるで、現実じゃない感じ……
***
『(あれ?私いつの間に……?)』
私は気付いたら家の前にいた。
先程まで十叶先輩と例の踏み切りにいたはず……
時間を見るといつも家につく時間と同じだった。
どのように帰ってきたのか全くわからない。
ただわかるのは助かったということだった……
***
私はあれからも踏み切りを使っているが、あれ以来あの男に出会うことはなかった。
END
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