展示用
□魔の踏み切り
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カンカン、
カンカン
『………(あちゃ〜踏み切りしまちゃった。夜遅くなっちゃったし、お母さんに怒られるよ〜。)』
一人の女子高校生が踏み切りの前で立ち往生していた。
空は暗く、時刻が遅い事を告げている。
彼女の周りには、人一人おらず、辺りはシーンとしていた。
サワ、
Σビクッ!
『…………』
彼女は思いだす、
友達が言っていた事を……
(ね〜知ってる?近くにある踏み切りの話し。)
(何、何〜?)
(あのね〜あの踏み切り出るんだって。これが)
(ちょ、まさかこれって、お化け?)
(まじ〜?どうなの?どうなの?)
(ふふ//
実は見た子が結構いるみたい。
なんでも、
踏み切りがしまったら現れてね。
人を路線まで連れて行くの。
そして、電車に引かせてあの世に連れて行くみたいなんだ〜)
(キャ〜怖い〜)
(Σいや〜!コワッ!!
あたし、その踏み切り使うんだよ!
明日から帰りや行きが怖いじゃん!)
友達が冗談で言った事。
さほど気にはしないように心掛けるがやはり怖い物は怖い……
自然と目線は下に…
『(まだかな〜………………うん?)』
彼女に黒い靴が見えた。
確か、さっきまで誰もいなかったはず……
視線を上げるともうすぐ夏だというのに全身黒い服で厚着の人がいた。
コツコツ
コツコツ
突然、その黒い服の人が線路に向かって歩きだした。
『(あっ!待ってあたしも行かなくちゃ!)』
時間も遅い。それに何より今は一人でいたない。
一人でいるといつあのお化けに会うかわからないし……
そんな感情からか、自然と足が動いていた。
コツコツ……
クル
『(Σえっ!)』
黒い服の人が線路の真ん中で突然こちらを向いた。
その顔はまるで目や鼻が溶けたようで、しかし口だけがはっきりとしていて……
そんな顔で…
笑っていた。
プップッー
気付くと彼女の目の前には電車が来ていた…
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