展示用
□地下室
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「陛下の家って、地下室とかありそうだよな。」
結論から言えば、あった。
期待していた反面本当にあるとは思っていなくて、武巳と稜子もかなり驚いた。
読書という普段と変わらぬ行為で休日を楽しんでいた亜紀や、家の手伝いをしていた俊也にも大慌てで報告した。
が、
「あっそ。」
「よかったな。」
回りくどく長い説明が無駄だと諭すように、そう切って捨てられた。
好きなように捜索させていた家主にも当然大発見を告げたのだが、
「本以外の物は処分しておけ。」
決してその気は無いのだろうが、命令口調で頼まれた。
かくして、発見者の使命だと主張する武巳と稜子は、あやめを巻き込んで地下室の探検に出発した。
携帯のライトは非常に心許無く、慎重に階段を降りた後も室内の様子は目視できなかった。
どことなくひんやりした埃っぽい空気に、稜子が思わず鼻と口を覆う。
「何が出てくるんだろうな……。」
「魔物とかいないよね……。」
「…………。」
ツッコミ不在の彼らは寄り添いながら、明かりを持つ武巳を先頭に歩を進めた。
それなりに広い空間のようで、無意識に潜めている声や足音がやたらに響く。
と、狭い視野に床以外の物が入った。
「何……?」
「……テーブル?」