展示用
□目隠し鬼
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鬼さんこちら、
手の鳴る方へ―――
「あ、『かごめかごめ』だった。」
ぼーっとしていた武巳がふと呟いたので、横で話していた稜子と亜紀は思わず振り向いた。
どうしたのかと稜子が問えば、武巳の方が不思議そうにした。無意識に思考が漏れてしまったらしい。
「や……ほら、前に陛下が言ってたじゃん? 目隠し鬼は『かごめかごめ』だって。」
話が唐突で、訳が分からない。稜子達が訝しげに視線を交わすと、武巳は助けを求めるように空目に声を掛けた。
「言ったよな、陛下?」
「……それがどうした。」
突き放すような台詞にそれでも肯定を見出だし、武巳は先程まで考えていた事を説明する。
「そーなると、『鬼さんこちら』のヤツはホントは何て言うんだろうなあって思って。」
「はあ? それも目隠し鬼でしょ。」
「え、だって目隠し鬼は『かごめかごめ』なんだろ?」
そこまで述べて、理解した亜紀は深々と溜め息をついた。
「……どうして1つ覚えると1つ忘れようとするのかねぇ……。」
「ど、どーゆー意味だよ。」
「『目隠し鬼』って名前の遊びは2つあるって事だよ、馬鹿者。」
え、とすら声にならない程愕然とする武巳。