小説

□釣り人はかく語る2
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 人はどうして生きているの。
 生にどんな意味があるの。
 わからない。
 何もわからないわ。

 だって私は創られし者。



『釣り人はかく語る2』




「人間は早く滅んだ方がいいのよ。ってゆーか時期的にそろそろ滅ぶわ、恐竜みたいに。繁栄し過ぎなのよ。出る杭は打たれるってやつ」

 白石くんはじっくり聞いていてくれる。
 馬鹿にする様子もない。
 ありがたい。

「あーもー平和って嫌だわ。飽きる。もっと遊びたい、ドキドキしたい」

 繋がらない話。
 言いたい事だけを次々並べて。

「私、誰かの一番なんてのは嫌なの。みんなの一番がいいの。ね? わかる? ああでも少なくとも白石くんの一番にはなれないのだろうからもうこの時点で私は満たされないわけでああもう」

 ぐるぐるする。
 伝わらない、気付かれない。
 ああ面倒臭い。

「ってゆーか私、人間不信だから。優しくしても素直に受け取るなんてしないから無駄よ」

 ぐるぐるする。
 止まらない。
 今何が起きているの?

「つか何か言ってよああごめんね私ばっかり押し付けちゃってそうだよね言う隙間なかったよねごめんごめんごめん」

 言葉が止まらない。
 つらつら。
 どこで切れるのかもわからない。

「ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 一度口にすると止まらない謝罪の言葉。
 何度も許されないと止まれない不思議。
 だって私。

 好かれたい。

 あぁ、ぐるぐるする。

 抱き締められて背中をぽんぽんと撫でられる。
 あと頭も撫でられる。
 落ち着いてと言わんばかりの。
 大きな体。
 大きな手。
 温かい体。
 温かい手。
 さすが男の子。

 好き。嫌い。

「あー、本当七海さんは面白いなぁ」
「そう?」
「うん。面白い。飽きない。もっと聞きたい」

 顔をあげるならきょとんとして見せただろう。
 ただ、今は胸に埋めてるから何もしない。
 ぎゅ、と服を掴む。
 何か言おうと開いた口は、閉じて。
 こみあげてきそうな涙は相変わらず外には出てこない。

 あぁ、好き、だな。

 想いがぐるぐるする。
 遊馬とはまた違う心地よさ。
 遊馬にないものがあって。

 あぁ。ハマる。

「ねぇ、白石くん」
「んー?」

 わからない。
 満たされない。
 ぐるぐる。

 私は何をしたいのだろう。

 わからない。だからいい。
 わかってしまったら何も出来ない。
 ああわたしはだれ?


「抱いて」


 全てを忘れておきましょう。
 考え事は辛い事ばかり。
 幸せ? 何それおいしいの?
 壊したい。
 ああ壊したいわ。

 早く死ねばいいのに。

 世界で一番誰よりも。
 私の事が大嫌い。




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