車輪小説

□誠実なキミ
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 キミの言葉はいつだって嘘まみれだ。
 それがキミらしさだって、わかってたつもりだったよ。
 でも、驚かせようと思ってこっそり訪れたキミの屋敷の中で、キミが見たこともないような切ない表情をして執事に縋る姿を見て、何かが崩れたんだ。
 あれはキミの本音でしょ?
 キミが誠実になれる場所。
 ボクの手が届かない場所。
 …ボクではなれない場所。

 思わず踵を返して駆け出した。
 言い知れぬ感情でいっぱいになる。

 わかってた。
 キミの言う「好き」も「愛してる」も全部嘘だって。
 ボクをからかって遊んでるんだって。
 それなのに、ちょっと本気になったボクがバカなんだ。
 ハハッ…。

 足がもつれる。
 転ぶ…!

「おっと」

 ふわりとした感覚。
 聞き慣れた声。
 どうして…?

「覗き見は良くないですねぇ」

 クスクス笑い。
 ボクは彼の手を振り払う。

「うるさい!」
「まあそう言わず」

 去ろうとしたら後ろから抱き締められた。

「離せ!」
「…ジョルジ」

 耳元で囁かれる。
 その台詞に思わず振り返れば、唇を塞がれた。
 いつもそうだ。キミは勝手なんだ。振り回されてばかりだよ。
 でも、キミはキミで、振り回されていたのかい?

 舌が絡んで、頭がボーっとしてくる。
 どうでも良くなりかける。
 あ、あとでちゃんと追及するからね!

『…貴方の前で、情けない所は見せたくないんですよ。そのくらい本気ですから、心配しないで下さい』



………あとがき

 ジョルジ+コンフリーで書こうと思ってたらいつの間にかこんなことに。
 ジギタリスはコンフリーの前でだけは若干素直だと思う。比較ですけど。
 そこでヤキモチ妬いてほしいv



 

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