□肉食
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「名前は本当に何もわかっていないな。」




冗談で返されたと思っていた笑みが段々と妖しいものへと変わっていく。



ズキンズキンと痛んだ心は今、ドクンドクンと激しく脈を打っている。




「…え?突然、どうしたの?」




状況が飲み込めないでいると、イタチが私との距離を縮めてきた。




「どこかで教わりはしなかったのか?」




イタチの顔が私の顔の真横にあって、耳にイタチの唇もう触れるって位置でイタチは話す。




「男は皆、狼なんだぞ。」




いつもより低く話され、耳を甘噛みされると全身にゾクリと何かがきた。




「羊の皮を被った狼、とでも言っておこうか。俺が名前を目の前に、どれだけ我慢していると思っているんだ?」




イタチは私の耳元で話しながら私の体に指をツゥッと伝わせる。
ゾクリゾクリと、イタチの行動全てに何かに襲われる。




「名前は言ったな。肉食だと。いつでも俺を狙っていると。」




体を伝っていったイタチの指は私の顎を軽く持ち上げて。
私が恥ずかしさからうつ向くのを阻止した。




「俺もいつも名前を狙っているんだ。…フッ、肉食同士共食いでもするか?」




言い終わって、イタチと私の唇は重なった。
さすが肉食とでも言おうか。
貪るように舌を絡ませ深く深く口づけて。




「っはぁ…んっ…イタ、チ…。」



「何だ?」



「どうせ肉食同士、同じ種類なら子孫繁栄の方がいい。」



「バカか。…名前、愛している。肉食だとか関係なく、な。」



「私も。」




私はやっぱり肉食だから、イタチに沢山がっつくよ。
狙った獲物は逃がさないからね。



だから、ねえ。
イタチも肉食なのならば、私に沢山がっついて。





あなたの全部が欲しい。






END
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