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□SとM、結局私はドM
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飛段とのいつものやり取りのあと、私は自分の部屋へと向かっていた。
「よォ、ドM娘。」
「サソリさん。何か用ですか?」
「別に。ただ、そろそろお前も飢えてんじゃねえかと思ってなァ。」
「飢えるって…飢えてませんよ、別に。」
「本当か?…何なら俺が相手してやるよ…ククッ」
「遠慮しま…っんう!?」
拒否の言葉はサソリさんの口の中に消えていった。
壁まで追い込まれ、片手で顎をすくわれる。
もう片方の手は逃げ場を塞ぐように私の顔のすぐ横にバンッと音を立ててつかれた。
「んぅっ……や……」
「クク…中々いい声で鳴くじゃねえか。やっぱりドMだな。内心嬉しいんだろ?」
一瞬離されたかと思えば、また無理矢理に唇を重ねられる。
確かに私はドMだから、嫌だ嫌だと思っていても、こういう行為には興奮してしまう質だ。
でも、心に想う人がいる今、この行為は不快でしかない。
「……やめ、てくださっ…」
「泣き顔はそそるよな…誘ってんのか?」
「ちがっ…」
唇が離れたその時、顔を横に向けると少し遠くに飛段の姿があった。
じっとこちらを見つめている。
「ひだ…っん……ふ…」
飛段に助けを求めるように名前を呼んだが、サソリさんにまたも唇を奪われる。
口を塞がれたままもがくが逃してはくれない。
暫くして、口を塞いだままの状態でサソリさんは目だけで横を見た。