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□高価なもの
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名前は俺のことを好きだ好きだとよく後をつけ回す。
だから適当にいらないものを名前にやって追っ払う。
「角都ーっ、今日こそは一緒に遊んでくれる?」
「他を当たれ。」
「角都じゃないと嫌なの。」
「俺は忙しいんだ。…これやるからおとなしくどこかへ行け。」
「これ、私にくれるの?私にプレゼント?」
「それでいいから早く行け。俺は忙しい。」
「っ、ありがとう!!」
満面の笑みで「頑張ってね!」なんて言って俺に手を振る名前。
贈り物と言っても大したことはない。
そこら辺でむしった、名も知らぬただの花なのに。
雑草をやっても名前は大喜びする。
追っ払う為だけに適当に用意された、何の価値もない、むしろ貰っても邪魔になりそうな贈り物なのに、何故そんな大喜びできるのかが俺には不思議でたまらない。
不思議だから。
最初は追っ払う為だったのに、最近では次は何をあげようか、この前より少し良いものをあげようかなんて思ってしまう自分がいるのは、あくまで不思議だからなのだ。