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□肉食
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「イタチ、ステーキ残すの?」
「ああ。名前はキャベツを残すのか?」
「うん。ねえねえ、交換しよ。」
「ああ。」
イタチとご飯を食べてる時、ステーキとキャベツが出たら必ずこの会話になる。
私はキャベツが嫌いで、イタチはステーキが好き。
私はステーキが好きで、イタチはキャベツが好き。
だから調度いいのだ。
そんなある日の夕食後、私はふと思ったことをイタチに告げた。
「イタチってさー、草食系男子ってやつだよね。」
「何だ?それは。」
「何ていうか…がっつかないっていうの?甘いモノ好きだし。それにキャベツ大好きってまさに草食。」
「ならば名前は肉食だな。」
「まあ、そうなるか。じゃあ肉食ついでに、イタチに猛烈アピールしちゃおうかな。草食系男子なイタチには無駄なことだけど。」
「何故無駄なんだ?」
「だってイタチって恋とかに興味なさそう。積極的にいかなくてもモテるし。」
「…名前は恋愛に興味があるのか?」
「あるよ。あるっていうか、イタチが好きだからっていうか。」
「…名前、俺を草食だと言ったな。」
「うん。だから肉食の私がいつでも狙ってるんだからね?」
冗談混じりに笑ってみせたら、イタチも少し笑った。
わかってますよ。
草食と肉食は結ばれないことくらい。
私がいくらイタチを好き好き言ったって、私とイタチは釣り合わない。
イタチの視界に私はいないから。
わかってるけど、冗談の中に本気を混ぜて言ってみる。
冗談で返されたイタチの笑みに心はズキンと傷んだ。