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□SとM、結局私はドM
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私はドMだ。
しかし私の好きな男もとんだドM野郎なのだ。
「あー、暇だ。名前ー、ちょっと殴ってくんねえ?」
こんな会話なんて日常茶飯事で。
「超スーパー激痛なくらい?」
「ゲハハハハァ!!興奮すんなぁ!!」
このドMに好かれる為に、ドSになりきるなんてのも、日常茶飯事。
「ふっ…言ったね?いい声で泣いてよ?耳障りな声なんか出したら…どうなるかわかってるよね?」
「ゲハハハァ!!たまんねえ!!」
どうやって虐めてやろうかなんていうのは、ちょっと妄そ…否、想像すればドMな私には簡単なことで。
服をぐっと掴んで、耳元で囁くように、焦らすような言葉で責めてやれば、飛段はとても喜ぶ。
さすがドM、なんて言ってもっと虐めてあげればもっと喜ぶんだろうけど、さすがに私もなりきっているだけであって、Sではないので実行に移せる訳がない。
実行に移せたとしても…
やっぱり私はドMだ。
飛段に攻めてほしくなるだろう。
ある意味今はお預けをくらっている訳だ。
だから私も飛段にお預けをする。
「…なんてね。私に虐めてほしいなら、もっと私を上手く誘えるようになってから求めてきなよ。」
「名前〜っ!!」
馬鹿みたいなアピール。
Sぶったって、好きになってくれる確証なんてないのに。
でも、それでもこうやって飛段と絡んでいられることは嬉しくて、こうやって私がSでいたら、もしかしたらもあると思った。