狐花は恋をする

□狐の嫁入り。
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空を見ると晴れなのに雨がポツリ、ポツリ降っている。
こんな天気を「狐の嫁入り」と言うのだと何かの本で読んだ気がする。
学校の下校中友達とバサラの話で盛り上がり興奮冷めぬうちに別れた。

友達は私と同じくバサラが大好きで話が良くあった。
友達は真田幸村が好きだって言ってるけど私は断然政宗派だな!!


もう全てが素晴らしく政宗の事だったら私は何時間でも話せる!と言う勢いだ。


政宗はとにかくかっこいい。それにつきる。他に思い浮かぶ言葉は・・・・たくさんあるけれどその一言でよくね?

大雑把!!


雨は別に気になるほどでもなかったため傘をさしてはいない。
雨に軽く濡れながら私は人通りの少ない道を歩いた。


途中鼻歌を歌ってみたり・・・・。
これが私のいつもの下校風景。・・・・だったはず。




いきなり私は背中に強い痛みを感じた。激痛が走る。大きな衝撃音があたりに響いた。


ドン。私は飛ばされ道路に叩き付けられた。かすれて見える世界の中目の端に車が映った。
車は電柱に衝突して中の人も血を流してぐったりしていた。



叫び声のような人の声が耳に入った


もう駄目。


私は意識を飛ばした。



・・・・・・・・・・・




どのくらい経ったのだろうか。私の耳に誰かの話し声が聞こえてきた。




「この娘はどうだ」
「お前はどう思う」
「年も十分じゃないか?」
「俺はこの娘で良いと思うぞ」
「じゃあこの娘で良いか?」
「いいぞ」
「いいな」
「いいぞ」




娘と言うのは私のことだろうか。
何が十分なの?

私は急に怖くなって重たい瞼を開けた。


そこは暗い世界だった。一寸先も見えないほど暗い。
その世界の中私と、私の少し離れたところに狐が輪になって話し合っていた。


「っ!?」


狐が話し合っている!?


恐怖で鳥肌が立った。
何で狐が人の言葉で話してるの!?
ここはどこ?
私はどうなったの?


その時一匹の狐が私に気付いた。



「娘が目を覚ましたぞ」


その一言で狐達が一斉に私を見た。


怖い。怖い。怖い。


私は怖くて涙が出てきそうになった。



私に一番最初に気が付いた狐が私に近づいてきた。
体を起こそうと思っても体がうごかなかった。


私と距離が1mほどになって狐は私に話しかけた。


「あまり体を動かさん方が良いぞ。今体を治している途中だからな」


「体を治してる・・・・?」


なんで私が狐にそんなことをされているの?


すると狐が私の考えを察したのかにやりと笑い話した



「実はなぁ我ら妖狐の姫が死んでしまったんだ。そこで姫にちょうど良い娘を探していた時にお前さんが死んでここに来たってわけだ」


と説明はされたが何が何の事だかわからなかった。

妖狐?妖怪の狐?昔話じゃなかったの?



「単刀直入に言うぞ我らの姫にならんか?」



「!?」



単刀直入すぎる。
狐の・・・・妖狐の姫に!?私が?



「なんで?」


私は質問した



「我らにとって姫は大切な存在。姫が消えてしまえば我らは崇拝するものが居なくなってしまう。
我らは日々誰かを崇拝し生きていくものそう決められているんだ
姫が居なくなれば我らの存在は無くなってしまう
だから、姫を探していたのだ」


そう言って目の前の狐は目を閉じて腕を組みうんうんと頷いた



「私なんかが姫になれるの?」


「姫は特に何かをするわけではない。ただ居てくれれば良いのだ。ただそれだけだ。悪い話じゃないと思うぞ?
もう一度人生がやり直せるんだからな」


・・・・私は暫く考えた。
これは夢なんじゃないかって何回も考えた。
夢だったらこんなおかしなことありえるしね。大体私が姫?姫って柄じゃないし。



けど、死んでしまってしまった私。行き場の無い私。
それだったら必要とされているところにいくべきではないのか?


それに、これは夢かもしれないし。


私は狐を見つめた。




「いいよ」



短いと答え。


そういった瞬間後ろの狐達が飛び上がって喜んだ。それほどまでに嬉しかったのだろうか?



「ありがとうございます。」


目の前の狐が深々と頭を下げた。
なんだかむずがゆい気分。


「それでは貴方様を我々の姫とさせてもらいます」


そう言うと後ろの狐達が何か・・・・いや、誰かを運んできた


私はぎょっとした。
それはきれいな着物を着たきれいな女の人だった。


狐達は私の近くにその人を大事そうに置いた。


「これは誰?」


恐る恐る私は尋ねた。



「これは姫様です。」

「姫様!?」

「そうです。これが貴方様の器。これが貴方様になるのです。」


そう言って狐達は何か変な呪文のようなものを唱えだした。


眠気に襲われる。狐達の変な呪文が唱えられている中私は眠りについた。








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