この恋を忘れた頃

□歩いて歩いて歩いて歩いて。
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(グロ有)


私はお咲さんを殺した後すぐにまた道を歩いていった。
どこまでも続く道をずっと、ずっと。
道の周りに家は無い。お咲さんの家のほかに家はあったんだけど人がいなかった。残念。


私はまた人を探しに歩き出した。


どこにいるのかな?
おなかもいっぱいになった私は気長に探すとするか、という考えになっていたので別に焦ってはいない。
別に焦る事は無いんじゃない?そう思ってるし。


私は道に生えていた草(ねこじゃらし)を手に持ってぶんぶん振り回しながら歩いていく。


周りには人気は無い。つまんないの。



その時、遠くから女の人の悲鳴と子供の泣き声が聞こえた。



私の人の声に反応し、肩がぴくりと動いた。

人?人が居るの??

私は急いでその悲鳴が聞こえたところに行った。

走って、走って目の前に広がった光景は女の人、子供が変な人たちに殺されているところだった。


なすすべも無く殺されているという光景。
泣き叫んでいたがあっけなく殺されてしまったという現実。


私はもう骸になった二人に視線を落とした。

あ、死んだ。

殺したと思われる男の人は八人。なんだか汚い身なりをしている。

男の人たちは汚い格好で、汚い顔で大きな口を開けて笑っている。



「うぇ、気持ちわるっ」


私は小さく呟いた。
気持ち悪いというのは、もちろん死体じゃなくて男の人たちを見ての感想だ。


八人のうちの一人が私に気が付いた。


「おい見ろよ、新しい獲物が来たぞ!」


そう言ってにやりと汚らしい顔を私に向けた。
その男の仲間と思われる他の奴らも私に視線を向けた。


気味の悪い・・・気持ち悪い笑い声を上げて



「よぉ、お譲ちゃん。お前も運が悪かったな。」


何が運が悪かっただ。


「今から俺らに殺されるんだからな」

そう言うと、また男達は一斉に笑い出した



笑い終わるか終わらないかといううちに、八人のうち一人が私のところに近づいてくる。


私に手が触れる。

その時私は男の首を蹴り上げた。


予想外の出来事で対応できなかった体は無残にも宙を舞い木の幹に頭からぶつかった。男の頭から血を流したまま動かなくなった。


私はその倒れた男から刀を奪った。


他の男達は唖然として私を見ていた。
私は刀を試すように倒れた男の首を斬った。骨が硬くなかなか巧く斬れない。
一旦引き抜き今度はさっきよりも思いっきり刀を振り落とした。


ザクッ


気持ちの良い音を立てて首が落ちた。頭の無くなった首からは大量の血が噴出した。


血は私の全身に降り注いだ。


血だらけになりながら私は残った男達を見た。



「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


情けない声を出して刀を振り回し襲い掛かってきた男達を私は、避けながら男達の首を斬っていった。
首の他にも、なんか簡単に死んでくれそうな場所を直感で斬っていく。

そうしていくうちに気が付いたら残りの一人になってしまった。


「ひぃぃぃぃぃ!!お、お助けぇ!!!」


涙を流し手を合わせて懇願する男。

私はゆっくりと男に近づいた。


「頼む」「頼む」といい続ける男を見下すように見ると刀を心臓に突き刺した。



「誰が助けるかバーカ」



本当に馬鹿みたい。てか、馬鹿じゃん馬鹿じゃん馬鹿じゃん。
そう簡単に助けるわけ無いじゃんか。大体なんで私があんたを助けなきゃいけないわけ?それだけのことをあんたは私にしたの?
してないんでしょ?だったら助ける理由なんて無いってわかってるよね?残念。


私は血の海となったその場に立って記憶が戻るのを待った。


キィーーンとした音が頭の中に響いたと思ったらあの頭痛が私を襲う。


今度は私が『テレビ』を見ているところだった。『テレビ』を見ている私はとても楽しそう・・・・・。なんで、そんな笑顔なの?

そして、朝起きる映像。そこ他にも少しの映像などが映し出された。


『テレビ』など単語は浮かんでくるのだが、どういったものなのかがわからない。
これではもどかしいだけではないか。


何故笑うの?何故笑っていたの?わからない。何故私は何も感じないの?誰か、何か教えてよ・・・・・・。


私はモヤモヤする気持ちをどうにかしたくてたまらない、だがどうにもならない。


そんな気持ちで死体を思いっきり蹴り上げた。






・・・・・・・・・・






俺はあいつを下界に送ってから毎日下界でのあいつの様子を見ている。


「やっと、今日九人殺したか」


二日目になってやっと人を殺し始めた。


俺は「やっと」と言ったが実は普通そんなに早く人は殺せない。
最低でも一ヶ月はかかる。


やっぱり記憶をなくしたのが良かったのか。


俺は、やっぱりあいつから記憶を取っておいて良かったと思った。


記憶を取るという事は、感情が消えるということ。
今まで得てきた感情が一気に消えてしまうと人はなんとも思わなくなる。
人を殺すのにも遠慮というものが無くなる。
そこに、人を殺すと自分の記憶が戻るというのがプラスされれば、そいつは何の疑問も持たずに人を殺し続ける。



それにあいつは生まれながらに悪党の魂を持っている。
記憶がなくなったことによって直感で行動するようになった。
そうする事によって元々持っていた悪党としての殺しの本能が極限までに高まり、さっきのように楽々と人が殺せる。


どこを斬れば死ぬのか、急所はどこかなんてあいつにはお手の物だろう。


記憶をなくしたあいつは、今や俺の最高傑作といって良い。


雲の上から下界を見下ろす神は、そう思いながら満足そうに微笑んだ。

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